2010年3月 のアーカイブ

オントロジー(2)

2010年3月22日 月曜日

そもそもビジネスルールは、その if 部分とワーキングメモリ(一時記憶)の中のファクトとが「パターンマッチ」されることで実行が進んでいくわけで、ファクトの「パターン(文字列)」はきちんと規定されている必要があります。さらにファクトの意味が同じファクト(パターン・・・文字列)に対してブレてしまうと、それぞれのビジネスルールの意味も変わってきてしまうので、ファクトの意味についても厳密に定義されていなければなりません。

ファクトのパターンとその意味が厳密に規定されたモデル・・・ファクトモデルは、このようにビジネスルールのシステムの基盤として非常に重要な存在です。さらにビジネスルールを用いたアプリケーションシステムが多数存在する、「企業」のレベルまで考えを拡げてみましょう。すると、これらビジネスルールの基盤となるファクトモデルは「企業」のレベルで共通のものになっていないとアプリケーションシステム間の相互運用性が保証されないことになってしまいます。

さて、(1)の項でファクトモデルがオントロジーにあたると書きました。すると「企業」のレベルで共通のものになっているファクトモデルとは、「企業」オントロジー・・・エンタープライズ・オントロジーということになります。

実はエンタープライズ・オントロジーというのは、オントロジー研究の中で昔から言われており、古くはエジンバラ大学の応用人工知能研究所研究トロント大学のエンタープライズインテグレーション研究所TOVEプロジェクトなどから、最近は成書も出ていたり、セマンティックWebの観点から注目されたりしてします。

ビジネスルールの世界は実践重視の世界なので敢えてオントロジーという言葉はあまり出てきませんでしたが(この辺の事情は、たとえばBusiness Rules in the Semantic Webなどを参照)、昨年あたりからEUのONTORULEプロジェクトなどというのが出てきたりしています。このプロジェクト、ONTOlogies meet business RULEs という名前が示すとおりオントロジーを基盤としてビジネスルールを用いたシステムを具体化していくプロジェクトです。いよいよオントロジーがビジネスルールの世界で俎上にのぼってきたということでしょうか。



オントロジー(1)

2010年3月15日 月曜日

元ジャストシステム社長の浮川さんが作った会社MetaMojiからOntoGearというオントロジー工学をベースにしたツールが公開されるとのこと。

元ジャストシステム浮川氏のMetaMoJi、初の製品となる「OntoGear」を5月に公開

久しぶりに「オントロジー」という言葉をプレスリリースなどで見て勉強しなければ・・・と思った次第。というのも、この「オントロジー(ontology)」、ビジネスルールアプローチやBRMSと非常に関連がありまして・・・(もっとも「OntoGear」というツールはBRMSやBRAというよりもむしろ応用人工知能的なツールです)。

「オントロジー」とはもともと「存在論」という意味の哲学用語ですが、コンピュータの世界で使われるときには物事・概念の間の関係性を記述したモデルとでも言うのでしょうか。イメージ的には、用語間の関係としてみたクラス図とか概念データモデルというと近いかもしれません(実際のオントロジーの実例としては「法造~オントロジー構築・利用の研究サイト~」などを見てもらえばよいかと)。

で、オントロジーをビジネスルール(BRA、BRMS)の世界に持ってくると、これが実はファクトのモデル(fact model)になるわけです。実際、ビジネスルールを書いていく上での基盤となるファクトモデルは、ビジネスルールが対象とするドメインのオントロジーといえます。たとえば企業活動というドメインを考えた場合、まず用語としては「顧客」「注文」「従業員」・・・などがあげられ、その関係性としてのファクトは、「顧客は注文を出す」、「従業員には性別がある」・・・などといったことになりましょう。

(この項続く)

Oracle Policy Automation

2010年3月10日 水曜日

先週、Oracleから「Oracle Policy Automation」の提供が開始されました。「ポリシー・オートメーション」などという名称がついておりますが、その実態はBRMS。この「Oracle Policy Automation」の元となっているのは、Oracleが買収したHaleyのBRMSです。

HaleyのBRMSというと、エンジン的にはOPS5→Clipsの流れを汲む Reteベースのごく一般的なものですが、特徴的なのはそのインタフェース。英語などの自然言語でルールを記述できるのがウリのBRMSでした。

残念ながら私は使ったことないのですが、ファクトのモデルそのものも自然言語で記述できる(らしい)スグレモノ。DroolsなどでもDSLの機能を用いて自然言語でルールを記述できるのですが、今のところ、
  1. まずJavaなどでモデルを記述する。
  2. その上で自然言語で記述したルールを書き換え規則に基づき置き換える
というレベルなので、Haleyに比べるとまだまだ(伸びしろがある?)という感じ。
「Oracle Policy Automation」は、このHaleyのバージョンアップ版ということで、そのインタフェースは期待されるところです。どこまで自然に業務上の規約や法規制などの文書からルールを生成できるのでしょうか。時間があればちょっと試してみたい気もしています。
実は私もちょうど、DroolsのDSLのサンプルとして旅費規程からルールを生成するサンプルでも作ろうかと思っていたところでした(館の方でそのうちぼちぼち書こうかと思っています)。

ところでHaleyベースの「Oracle Policy Automation」はよいとして、Oracleは別にJessベースのBRMSを持っているのですが、そちらはどうなるのでしょう・・・?

日本オラクル、業務規約の立案、検証と展開を可能にする新製品を発表  (Oracle プレスリリース)
業務規約の立案、検証と展開を支援する新製品「Oracle Policy Automation」を提供開始
日本オラクル、業務規約の立案、検証と展開を可能にする新製品を発表 (asahi.com)