Web2.0やマッシュアップという言葉が流行っていたころ、一部で「エンタープライズマッシュアップ」という言葉が使われた時期がありました。まあ、読んで字のごとく、「企業におけるマッシュアップ」ということで、その心は社内外のWeb-APIを組み合わせて企業内のポータルなどを構築する方法論というようなイメージでしょうか。最近はあまり聞かれなくなりましたが、ことさら「マッシュアップ」という言葉を使わなくても、Web上での開発のひとつの方法論としてある程度定着したからなのでしょうか。
さて、この言葉を思い出したのは、最近ある雑誌の記事を読んだからです。日経コンピュータの最新9月29日号の「システムを「作らず」に作った」という記事。今回作ったシステムは、ユーザインタフェース部分でひとつのクラウド、帳票生成サービス用のクラウド、ルールエンジン用のクラウド、3つのクラウドの間で通信しながら処理を行うというまさに 「クラウド間でSOAを実現しちゃいました」 的なちょっとおもしろいシステムです。そこそこのパフォーマンスも出ているようで一昔前なら夢物語だったような世界が手の届くところまで来たということですね。
もちろんこのブログの趣旨からして強調したいのは、ルールエンジンでして・・・^^;。最近のルールエンジンのひとつの典型的な使い方として、今回の例のように、保険料の計算や整合性チェックなどのビジネスロジックの処理部分を、ルールエンジンを用いて独立したWebサービスとして提供するというのがあります。そして将来的には、このサービスをさまざまなアプリケーションで使いまわすということ…もっとも、日本国内で「さまざまなアプリケーションで使いまわす」というところまで行っているところはさすがにまだ聞いたことがないのですが…。
今回、ルールエンジンがクラウドにのったということになると、上記のようなことがやりやすくなるだけでなく、(もちろんセキュリティの面など解決しなければならないことは多いですが)ルールエンジンを用いてビジネスロジックの処理をサービスとして提供するような可能性、幅がより拡がってくことになるでしょう。冒頭に述べた「マッシュアップ」は、ウィジェットを組み合わせてユーザインタフェース部分をひとつにまとめる感が強いですが、今回のケースは、もう少しビジネスのロジックに踏み込み、クラウドに散在するWebサービス間で物事を処理していく、いわばインターネットSOA、クラウドtoクラウドSOAが始まりつつあるということではないでしょうか。
最初はルールエンジンの話を書こうと思っていたのですが、結局最後はSOAの話になってしまいましたね。長くなるのでルールの話はぜひ記事を…。
(2012年1月12日追記) この日経コンピュータの記事は、日経の電子版の12月28日つけ記事「システムを「作らず」に作った…得られた八つの利点」として読めるようになりました。
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