日経コンピュータにBRMSの記事が載ったおかげか、BRMSへの注目度も高くなってまいりました。当の記事には、日本のほかに韓国の事例が載っておりましたが、世界に目を向ければ特にサムスンだけが進んでいるわけではなく、さまざまな企業・団体が導入していることがわかります。たとえば、IBMの事例集など
Client Success Stories (WebSphere ILOG JRules)
を見てみても、ここ数年オープンになる事例の数が急に増えてきていて、業種も金融・保険関係だけでなく物流、ヘルスケア、小売・流通、公的機関などなどさまざまにわたるようになってきています。
というわけで、事例については以前にも折に触れ紹介していましたが、今後、前にもましてBRMSの事例を充実させていこうと考えております。で、その最初ということでFICOのBlazeAdvisorの事例を。
以前の記事で、FICOのBlaze Advisorの紹介をしましたが、何といってもやはりBRMSの老舗だけあって、実績についてはIBMのJRules(Websphere Operational Decision Management)と並ぶものがあります。
このBlaze Advisor 、エキスパートシステム構築ツールであるNeuron Data社のNexpert を源流にもち、買収などの紆余曲折を経て今ではFICOスコアで有名なフェアアイザックの製品となっています。このフェアアイザックが持っているだけあって、金融・クレジットカード関係に強く、日本国内でも金融関連を中心に50社程度の顧客を有しているようです。
(ちなみにFICOスコアについては、
FICOスコア
クレジットスコアを知っていますか?
とか、Googleで「FICOスコア」などと検索してみるとたくさんでてきます。)
さて、事例ということで、まずはちょっと古く 6~7年くらい前の事例になりますが、日本の地方銀行の住宅ローン審査システムをとりあげてみます。Blaze Advisorにより、ローンの承認/不承認や保証料率の決定を行うものです。
背景:
当地方銀行は、貸し倒れのリスクを回避するために住宅ローンの審査が厳格であり、さらに審査の回答に時間がかかっていた。そのためハウスメーカーからの案件持込み件数も減少していた。
ソリューション:
・リスクを計量化するためのスコアリングモデルを導入することで、適切な審査基準を設定。案件承認率を向上させる。
・Blaze Advisor により意思決定を自動化し、審査処理のスピードを向上させる。
結果:
・問題のない案件であれば、最短1時間程度で審査結果を回答
・案件承認率は80%から90%にアップ
・ハウスメーカーからの持込案件が大幅増大(件数4倍、金額5倍)
・住宅ローン獲得額はシステム導入後のH16年度下半期で対前年比34%増
ということ。
実際、こういった人間が行っている住宅ローンの「審査」などは、年収、年齢、個人の信用情報、担保評価額等々などから機械的に判断できる部分も多く、こういった意思決定を自動化するのはBRMSのもっとも得意とするところです。機械的な判断そのものは通常のプログラムで書くことも可能なのですが、BRMSによれば、実装されたビジネスルールからその元になっている個々の審査基準(のドキュメント)へのトレースが非常に容易になり、また審査基準の変更に追随した実装ルールの変更も容易になります。
上の事例は少々古いので、現在の状況までフォローはできていないのですが、今流行のデシジョンマネージメントという立場でさらに発展形を考えてみると、
・貸し倒れ率、案件承認率などの指標を統計的に解析して審査基準を修正してみる。
・新たな審査基準と今までの審査データを用いて結果をシミュレーションしてみる。
・上記の結果をうけて新たな審査基準を実地に適用する。
といったことも出てくるかと。実際、欧米などの状況を見てみると時代はこういった方向に向かっているようですが。
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